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当サイトについて
作業療法士養成において、学年ごとに実習があります(見学実習、評価実習、臨床実習)。当サイトは筆者の経験をもとに、指導者がよりよい臨床実習を行える手助けになればという思いで設立しました。
なので、臨床実習の中で意識できたほうが良いことと、それに基づく実践を、指導者、学生双方に向けて提案しています。
また、メインは臨床実習や評価実習と記しましたが、実際にはどの実習においてもスタートは見学は必須となりますので、見学実習においても参考になるように記しています。とにかく実習進行において急いで参考にしたい方は、とりあえず「このページ」→次項である「実習指導支援パッケージ」の順に読み、必要であれば「実習指導支援ツール」「統合と解釈支援ツール」をご活用ください。
実習指導の改革と、それによる影響・・・2023・12・22
近年、臨床実習でのハラスメントをはじめとした問題が急浮上しており、その結果作業療法臨床実習の制度の改革も行われています。しかし1993年から精神科の臨床で培った筆者個人の視点からですが、あくまでその諸問題が起きないようにするために学生への負荷を減らすための措置と思えます。特に令和2年6月時では当サイトのアクセス数が例年の同時期と比べて一気に5倍以上と激増しており、春の実習で苦戦した末に指導者又は学生がインターネットに押し寄せた結果と思え、養成校だけでの指導や現場の経験だけでは補えない状況となったのではと思われます。
しかし、近年の臨床実習にむけた改革も意味のあるものですが、筆者としてはもともとこれまでの臨床実習で指導者と学生が実習をクリアするためにどうして「時間をかける」という方法が取られがちだった理由を調査、解決できるように対策を行うことが必要だったと思います。
本サイトでは、これまでの「時間をかける」に陥りがちだった臨床実習を再考し、筆者なりの経験や視点で今後に向けた支援、提案をしたいと思います。そしてこれまで実習内での問題や課題に対して指導者側がどう向き合い乗り越えるかに論点を絞りますが、それは学生や養成校にとっても同様の問題と思ってもらいたいと思います。
そして、筆者なりの臨床実習を進める手順として、以前全国作業療法学会で発表させていただいた
実習指導支援ツールも掲載します。内容については筆者なりの視点で製作したものなので偏りはありますが、指導者の実習への準備や、指導を円滑に行う為の方法の一つとして提案させていただきます。そして本サイトを一読したのち、ぜひ各自で実習指導支援ツールを製作することをお勧めします。
なお、本ツールはICFや作業モデルといった理論そのものは筆者なりに解釈し反映させているつもりですが、最終的には筆者なりの作業療法観が色濃く反映されています。よって使用については各自の判断でお願いします。
実習改革後の臨床実習の制限と対応について 2021・4・17
臨床実習に必要なことは?(2021・4・17更新)
筆者は同職間の都合のために臨床実習の機会から隔離されていましたが、最近筆者は数年ぶり(!)に臨床実習の担当をすることが出来ました。しかしこれは近年のコロナ騒動に伴い急な要請であり、現状のコロナ感染対策により、近年の改革に加えてより多くの制限が生じた実習となりました。
ただ、筆者にとっては「制限された範囲内で実習を完遂させる」という意識をよりしっかり持つことが出来ました。それにより「こちらが示してから考えてもらったり理解してもらう」ために「学生が理解できる伝え方と量と順序」実習を行うこと、そのための計画やツールを作成して進行しました。
以降は今期の実習においてこちらがより感じた制限と、それへの具体的な対応について記します。
⓵学生の実習前の学習に対して
→指導者の作業療法観やそれに基づいた実習進行の流れ、到達点などを学生に当サイトを見てもらうことで「指導者とのすり合わせ」をあらかじめ行っておいてもらいました。
⓶実習指導時間の制限に対して
→学生が実習内で自分で気付いたり理解していく手伝いに必要な「実習指導支援パッケージ」(後述)の作成と学生に共有してもらい、実習時間内での説明時間の短縮と学生の自宅での課題遂行のスリム化を図りました。
③自宅での睡眠時間確保に対して
→学生の自宅での課題遂行時間を確認し、睡眠に支障のない課題の量や領域に調整。
⓸課題自体の制限に対して
→個人情報の制限などの「理由」の説明(実習地、学生双方に対しての防衛として)
⓹課題遂行への評価に対して
→以前は学生がやってきたことの成果として、レスポンスや量といった可視化できることに意識が向きがちでしたが、今回は学生が「どういうことを表現したかったのか」という指導者側の姿勢を意識しました。
⓺現場でのSV側の動きの説明や意味を伝える
→最終学年には実習指導支援ツールの事前共有から治療者の対象への影響への意識と理解(元々人間関係として当たり前ですが)を通じて個人因子と環境因子、それらから活動や参加への波及ということを考えてもらうようにやってみました。また前述の「実習指導支援パッケージ」では、学生に参加してもらう
昨今の実習の改定に加えてコロナによる実習地での制限(実習期間や病棟、対象への接触、学生の健康管理など)は、学生はもちろん対象、実習地や指導者の安全を確約しつつ学生に学んでもらうために必要なものと感じますが、全体としては学生や現場への負担が大きいでしょう(指導者向け研修があるとはいえ)。
ただ、よくよく見てみると、制限はもともとはっきりしていますから、制限の中でどのようにすれば実習を行える(受けれる)かを考えること自体は可能と思います。大事なのは「どうすれば出来るのか」であり、そのために必要なことを考え準備することではないでしょうか。
筆者の今回の実習への対応は8年ぶりで且、実習開始一か月前や一週間前の依頼であっても、筆者自身としては何も慌てず実習を行えました。これについては実習に来てくれた学生の良い資質や意識、現場の理解や協力にかなり助けてもらいました。しかし筆者自身実習として求められることを多くの制限の中で行うことを受け入れていたことと、加えて筆者はこれまでに本サイトにて実習指導者として実習への準備として必要なことをまとめる作業をしていたことが大きかったと思います。
今回の3人への実習についても実際に制限の多い実習の中でできるだけ学生にとって意味のある実習を行った「つもり」でしたが、「つもり」の通りになったかは学生が評価することと思います。ただ、筆者がこれまでの実習指導で大事と感じるようになったことが、今回の実習の中で証明できた気がします(加えて指導に付き合ってくれた学生の資質や意欲、姿勢があってのことですが)。以降はそれを基軸に、臨床実習に必要なことを伝えたいと思います。
これまでの実習においてよく見られたであろうサイクルは、学生の観察・評価・考察に指導者が判定や指導を行い、学生がそれを反映して次回以降の観察・評価・考察を行うというものだと思います。しかし実情としては学生にも指導者にも多大な手間と時間が必要でした。今回法改正があり学生
への負担量への対応がされましたが、単に目先の対応を行うことも必要ですが、どうしてこれほどの手間や時間がどうしてかかったかを考える必要があると筆者は考えます。
これまでの実習指導については指導者は学生のレベル、養成校の指導内容に対しての現場としてできることを頑張ってきたことと思います。指導者は現場で何年も何例も患者さんと関わる中で漠然とでも感じてきたことを学生に指導場面で「学んでほしいこと」として伝えてきたのだと思います。しかしその際学生が理解できる言語化や表現、そして「学んでほしいこと」の妥当性を自身で検討できているか?は別の問題です。過去の筆者も、初期は自身の書き方をそのまま模倣してもらったり、学生が理解できるまでひたすらフィードバックするなど思いつく手間をかけましたが、それで学生が必ず理解できるとは限りません。その後の指導時間の軽減(=学生の自宅での作業時間)につながりにくかった思い出ばかりですし、それはほかの指導者の様子を見ても大体同じ印象を受けました。
因みにそうなる理由としては、筆者としては「指導者なりに何とかしないと」や「わかってほしい」など強い思いがあってのことかと思います(熱量がなかったり、自尊感が強かったりな方もいるでしょうが)。
個の実情に対して筆者なりに指導者側が出来ることは何かと考えると、それはまずは指導者自身がきちんと学生に理解してもらいたいことを学生に伝えれるようになることと考えます。筆者なりに実習指導でおこなってきたことは、自身の学習と経験との合流で解釈してきた自身の作業療法を「学生に見せる」ことと「それを説明する」ことでした。しかし特に若いころの筆者は「説明」よりは学生が考え導き出すことが当然といった気持ちが大きかったことと、筆者自身に自分の考えやエビデンスが不足していたため当然言語化できるものも不足していました。
しかし「言語化できる」ということは、作業療法士が学生時代に習ってきたことと、士になってからの経験と学習がうまくつながり、作業療法や作業がどういうことかがはっきり出来て、初めて他者に伝えれる土台が出来上がるのではないでしょうか?そして自身の臨床で実際に実践し、対象から作業ということ、自身の役割から療法士であることを考えていくことで、ようやく「作業」と「作業療法」を現場から伝えれるようになるのではと思います。
そして、指導者として必要なこととしては、学生の理解の困難さや妨げの根底にあることをきちんと解決することも重要と考えます。
もともと人間関係というものは互いの中で行われるものであり、互いの行動は互いに影響し合っていくものです(互いが相手に環境因子になります)。そしてICFにもあるように自身と周りとの相互作用の中で活動や参加が変化することは、もちろん学生との関係においてもいえるのではないでしょうか?指導者が自身の伝えたいことを学生が理解できるような関係の取り方や伝え方(程度や順序など)を意識することと行動するということは、患者さん関係だけでなく人間同士として当然必要な振る舞いではないでしょうか?逆に相った振る舞いが困難であれば、指導者自身が学生との関係の中で何等かの影響を受けているということにもなりますし、またそれは指導者自身の個人因子が影響されたということにもなります。つまり、何でもかんでも「学生が・・・」というのは愚の骨頂であり、指導者自身にも問題があるということです。
しかし「問題」自体が個を「悪い」存在とするとことではありませんし、誰しも通過することだと筆者は思います。この「問題」に対して自分が自己受容(是非ではなく自分を認めるという行為)すること、その体験を通じて自身と向き合う事の難しさを理解し、その理解を以て学生や患者さんに何ができるかを考え行動することに繋がればよいのです。
以上のことから、筆者が考える「臨床実習に必要なこと」は、
①.指導者自身が作業療法の根幹の部分を他者が理解できるような言語化ができる
②.学生を個人として理解し、また認めてはいく
③.②の中から学生に理解を高めてほしいことを焦点化する
④.学生に応じた指導のペースや手順を考え、実行する
⓹.現場も指導者が自身を責めずに、また学生を責めずに済むようなフォローを心掛ける
特に①においては、これまで当サイトで紹介してきた「実習指導支援ツール」と、今回発案させていただく「実習指導支援パッケージ」がその方法になるのではないでしょうか?ただ、当ツールはあくまで「実習指導」そして「観察、評価、考察の一連のプロセスの言語化」です。本当は「作業療法」「作業」「障がい」「リハビリテーション」を語れるようになることとそれらの行動化が重要ではないかと思います。